宇宙の外側ってどうなってるの?
夜空を見上げたとき、私たちが目にしている宇宙空間。その向こう側について考えたことはありますか?「宇宙に終わりはあるのか」「果ての先には何があるのか」という問いは、古くから人類を魅了し続ける最大の謎の一つです。
かつては「宇宙には始まりも終わりもない」とする定常宇宙論も唱えられましたが、現在では約138億年前のビッグバンによって宇宙が誕生したとする説が有力視されています。しかし、技術が進化してもなお、私たちが把握できている宇宙は全体のわずか5%程度に過ぎません。最新の理論物理学や天文学は、この「宇宙の端」や「その外側(外宇宙)」についてどこまで解き明かしているのでしょうか。今回は、観測の限界と外宇宙についての5つの仮説を中心に触れていきたいと思います。
まず前提として、私たちが「宇宙」と呼んでいるものの多くは「観測可能な宇宙」を指します。宇宙の誕生から約138億年が経過していますが、私たちが観測できる範囲は地球を中心とした半径約465億光年(直径約930億光年)に及びます。誕生時の年数よりも広い理由は、空間そのものが光を超えるスピードで膨張し続けているためです。
光の速度は有限です。そのため465億光年より遠くから放たれた光は膨張に追いつけず、地球へ永久に届きません。私たちが物理的に観測・確認できないこの領域こそが、広義の「外宇宙」となります。
現状の宇宙船(アポロや探査機など)では、太陽系に最も近い「ケンタウルス座アルファ星」へ到達するだけでも約7万年かかります。レーザー光を用いた小型探査機計画「ブレイクスルー・スターショット」でも約20年、アンドロメダ銀河に至っては到達するのに約250万年が必要です。さらに、アインシュタインの相対性理論によれば物体の速度は光速を超えられないため、膨張し続ける宇宙の果てに物理的に追いつくことは不可能だとされています。
では、直接見ることができない「観測可能な宇宙の外側」には何があるのでしょうか。現在、主に5つの仮説が議論されています。

観測可能な領域の「すぐ先にある同じような宇宙」
私たちが霧の深い森の中にいるとき、見えない奥にも同じ森が続いていると推測するのと同じ考え方があります。これが最も現実的とされる仮説です。
2013年にプランク宇宙望遠鏡が測定したデータによると、宇宙の曲率はほぼ「平坦(誤差0.2%以下)」であることが判明しました。これは、私たちが観測できている範囲が宇宙全体の中のごく一部に過ぎず、その外側にも同じように星や銀河が広がっている可能性が高いことを示しています。
さらに乙女座銀河団などの巨大銀河団が、観測可能な宇宙の外側へ向けて引き寄せられているように見える「ダークフロー」という現象が報告されており、もしこれが正しければ、外側に巨大な重力源が存在することになります。しかしこれは統計的な揺らぎに過ぎないという反論もあり、現在も検証が続けられています。

インフレーションと「泡宇宙(マルチバース)」仮説
宇宙誕生直後、空間が急激に広がる「インフレーション」が起きました。1986年に物理学者アンドレイ・リンデが提唱した説によると、このインフレーションは宇宙全体で一斉に終わったわけではないとされています。この説では、親宇宙と呼ばれる超空間では今もインフレーションが続いており、沸騰したお湯から泡が次々と生まれるように、新しい「泡宇宙」が次々と誕生していると考えられています
そのため私たちの宇宙もその無数の泡の一つに過ぎず、他の泡宇宙では重力の強さや光の速度、空間の次元数さえも異なっている可能性があります。
またそれぞれの泡宇宙は猛烈な勢いで膨張する空間で隔てられているため、互いに行き来することはできないとされています。

ブレーンワールド仮説
1990年代後半に物理学者らによって提唱された「ブレーンワールド仮説」では、私たちの住む3次元空間(+時間)は、より高次元な空間(バルク)に浮かぶ「膜(ブレーン)」のようなものだと考えます。
シャボン玉の膜の上に垂らしたインクが膜の外に出られないように、光や一般の物質、電磁気力はこの「膜」の上しか移動できません。そのため、目に見える距離としてはすぐ隣に別の膜宇宙が存在していたとしても、私たちはそれを認知・観測できません。
また「なぜ自然界の4つの力の中で重力だけが極端に弱いのか」という物理学の謎に対し、この理論では「重力だけが膜を抜けて高次元空間へ漏れ出しているからだ」と説明されています。

ベビーユニバース仮説(ブラックホールの内部から誕生)
1992年に物理学者リー・スモーリンは、私たちの宇宙にあるブラックホールの内部(事象の地平面の向こう側)で、新しい宇宙が生まれているのではないかという仮説を提唱しました。極限まで圧縮された時空が跳ね返り(ビッグバウンド)、再び膨張を始めることで「第2のビッグバン」が起きるというメカニズムです。これが正しければ、私たちの宇宙も親宇宙のブラックホールから生まれた可能性があり、宇宙自体が子孫を残しながら進化しているとも解釈できます。
ただし、事象の地平面を越えた内部の情報を外側から観測することは原理的に不可能なため、検証は極めて困難とされています。

シミュレーション仮説(仮想世界と創造主)
2003年に哲学者ニック・ボストロムが提唱した刺激的な説です。私たちが現実だと思っているこの宇宙全体が、高度に発達した文明のスーパーコンピューター上で動作している「シミュレーションプログラム」に過ぎないという考え方です。自然界が驚くほど簡潔な数学で記述できることや、プランク長・光速といった各種の「限界値」が存在することは、コンピュータープログラムの仕様(ドット絵のピクセルや処理限界)と類似していると指摘されます。この仮説において「外宇宙」とは、シミュレーションを実行しているプログラマー(創造主)が存在する「上位の現実世界」を意味します。
科学的な反証や検証が不可能であるため哲学の域を出ませんが、統計的な確率論から真剣に議論されるテーマの一つです。

科学的な宇宙論のほかにも、宇宙の外側やあり方を巡っては多様なアプローチが存在します。
レベル3のマルチバース(多世界解釈)
量子力学における「多世界解釈」をベースにした考え方で、私たちが選択や確率の分岐を迎えるたびに世界が分岐し、無限のパラレルワールド(並行世界)が同時に展開しているとします(マックス・テグマークによる分類)。
哲学的な「本体(イデア)」の存在
古代ギリシャのプラトンが唱えた「イデア論」のように、私たちが知覚している物理宇宙は本物ではなく「何らかの本体から投影された影」に過ぎず、観測可能な外側に世界の本体が存在するという哲学的アプローチです。
終わりに
宇宙の果て、そしてその外側はどうなっているのか——。
現時点の科学では明確な1つの答えに達していません。しかし、今回紹介した説は、必ずしも互いを否定し合うものではありません。
私たちの宇宙はインフレーションが続く親宇宙の中に生まれた泡であり、その泡が高次元の膜になっていて、内部のブラックホールからは新たな子宇宙が生まれ、それら全てが高度なシミュレーションかもしれないといった重層的な構造の可能性すら残されています。
私たちが認識できる宇宙は、壮大な現実のほんの入口に過ぎないのかもしれません。科学と技術が進化し続ける限り、この果てしない「外宇宙」への冒険と探求が果てることはないでしょう。
いかがでしたでしょうか。どの説もぶっ飛んでいて興味を惹かれるものばかりですよね。特にマルチバースという考え方はゲームなどの設定にもよく出てくるので馴染み深いと感じた人もいるのではないでしょうか。それにブラックホールの事象の地平面に関しては空間が捻じ曲がるとも言われているので、そこから私たちの知らない何かが誕生していても不思議ではありません。また、この世界が仮想世界であるという話もかなり有名ですよね。宗教で崇められている神様という存在を私たちをシュミレーションしているこの世界の外側にいる誰かだと仮定すると、この世界が仮想現実という話も馬鹿にはできません。
皆さんは宇宙の外側があると思いますか?皆さんの意見や考察もコメントしていただけると嬉しいです!最後までご覧いただきありがとうございました。
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参考
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Wikipedia. (n.d.). 観測可能な宇宙. ウィキペディア日本語版.
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Wikipedia. (n.d.). パラレルワールド. ウィキペディア日本語版.
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マルチバース分類、インフレーション理論、ダークフロー等の背景となる一次文献・論文の一覧
| 分野・テーマ | 主な提唱者・著者 | 原著論文 / 著書 | 内容 |
| マルチバース分類 | Max Tegmark (2003) | Parallel Universes. Scientific American. | 多重宇宙をレベル1〜4の段階に体系化した基礎論文。 |
| 永久インフレーション | Andrei Linde (1986) | Eternally Existing Self-Reproducing Chaotic Inflationary Universe. Physics Letters B. | 宇宙の膨張が各地で独立して持続し、親宇宙から子宇宙が無限に生じる理論。 |
| ダークフロー | Alexander Kashlinsky et al. (2008) | A measurement of large-scale peculiar velocity field of the universe using the kinematic Sunyaev-Zel’dovich effect. Astrophysical Journal. | 観測可能な宇宙の外側へ銀河団が一斉に移動している現象の発見報告。 |
| シミュレーション仮説 | Nick Bostrom (2003) | Are You Living in a Computer Simulation?. Philosophical Quarterly. | 我々の物理世界が上位存在の計算機上で動いている可能性を示す論文。 |